第三回憲法講座始めていきます!
今回は人権がテーマです。
人権の中でも「企業と個人間の人権」について試験で出題される重要箇所の必要部分だけまとめました!
会社には,従わなければいけない就業規則だったり慣習みたいなものがあります。
こういうものは,会社により様々に異なるので大変です笑
この前,ある企業が就業5分前からラジオ体操をすることを規則づけていたのですが,5分間拘束されている時間は賃金が払われていないため労基局から是正勧告を受けていました。

会社の就業規則やルールが法律や憲法に違反していることもあるんだね

そうなんです!だから,労働者は労働基準法という法律で守られます
企業の規則や慣習が労働基準法などに違反している場合は労働者の権利争いが行われます。
公務員試験では,労働者の権利問題について出題されるため勉強していきます。
それでは,まず暗記すべきポイントをまとめます。
POINT!
①憲法の人権保障の規定は私人間相互の関係には,適用されない(三菱樹脂事件)
②企業が雇用者の思想・信条により雇用を拒んでも違法ではない(三菱樹脂事件)
③女子の定年年齢を男子より低く定める就業規則は民法90条により無効である(日産自動車事件)
④私人間の一方が新聞社など強い影響力がある場合でも,憲法は直接適用されず民法により争う(サンケイ新聞事件)
①②三菱樹脂事件
東北大の学生が三菱樹脂株式会社の就職面接で,学生運動に参加しているか質問されました。
学生は,参加していないと面接で答えたにもかかわらず,実際には参加していました。
これが,企業にバレてしまい内定が取り消されました。
政治的運動に参加しているという理由で内定取り消しは違憲だ!と学生は裁判で争います。
学生は,「学生運動の参加は憲法に規定している思想・良心の自由じゃないか」と訴えました。
しかし,この権利は憲法の19条の思想・良心の自由の内容であり,私人間の争いである企業と学生(法人と個人)の問題に憲法は適用されません。
よって,企業が特定の思想・信条の者の雇入れを拒んだとしても違法になることはないとしました.
憲法は”国”と”私人”間の権利を規定したものであり
民法は”私人”と”私人”の権利を規定なので民法の範囲です。
憲法の基本的人権の規定は私人間の関係で適用されないと覚えましょう。
③日産自動車事件
日産自動車で働く女性の年齢が50歳に近づいたとき,勤務先から退職を命じられました。
日産自動車の就業規則には,女性の定年年齢が50歳,男性の定年年齢が55歳とあり,この規定が男女差別による憲法または法律違反なのではないかという事件です。
裁判の判決では,女性の定年年齢を男性より低く定めることは差別とし,企業がこのような規則を設けてはいけてはならないとしました。
裁判では,憲法14条と民法90条に違反するとして争いました。
そして,民法90条により無効になりました。
憲法は私人間(法人と個人)の問題なので直接適用されないようです。
公務員試験では,よく「憲法14条に反して」とひっかけの選択肢が出題されます。
憲法14条違反ではなく,民法90条に違反しているので注意してください。
④サンケイ新聞事件
産経新聞事件は日本共産党が無料で自民党への反論記事を掲載させてよ!と訴えた事件です。笑
サンケイ新聞は,自由民主党から広告料をもらい日本共産党に対して自由民主党への意見広告(日本共産党を批判するようなこと)を紙面に載せました。
そうなると,日本共産党も黙っていられません。
反論権(アクセス権)を元にサンケイ新聞に「無料で反論記事を掲載してよ」とお願いしました。
しかし,サンケイ新聞側はこれを拒否し,無料で掲載するよう裁判を起こしました。
日本共産党は憲法21条(表現の自由)に基づいて反論分を掲載させるよう裁判を起こしています。
いくら国民に影響力のある新聞社だとしても法人であり私人なんです。
法人は私人という扱いなので!!
よって,私人間の権利争いに憲法は直接適用されないということです。
また,反論権という権利はそもそも憲法にありません。
反論権を認めると,無料で反論記事の掲載を認めてしまうことになり,新聞社やメディアの表現の自由を妨げられてしまうため却下しました。
結果,日本共産党は敗訴し,無料で記事掲載はしないことで裁判は集結しました。
新聞社もお金をやりくりして新聞を出しているのに,その1部の記事を無料で掲載してと言われても困りますよね。。。
終わり
企業と個人間の人権の試験で出題される問題はこのくらいです。
私人間の権利争いは憲法は直接用いることが出来ないことを覚えておきましょう!
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